『異見自在』#4、監修・出演:高山正之、2010年1月収録
連載第5回 「許していいのか?外国人参政権」、連載第6回 「当たっちゃ困るぜ、シー・シェパード」
「週刊新潮」の連載コラムなど、辛口のジャーナリストとして知られる高山正之によるトーク番組がスタート!豊富な知識と経験に裏付けられた鋭い切口とともに、時間と空間を縦横無尽に横断しながら、歴史的事件や事実の真実を探る。
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プロフィール:1942年生。ジャーナリスト。1965年東京都立大学卒業後、産経新聞社に入社。社会部デスクを経て、テヘラン、ロサンゼルス各支局長。
1998年より3年間、産経新聞夕刊1面にて時事コラム「異見自在」を担当し、その辛口ぶりが評判に、2001年~07年3月まで帝京大学教授。「週刊新潮」に連載中のコラム「変見自在」は熱狂的ファンも多く、名物辛口コラムとして高い人気を集めている。
著書に、『変見自在、サダム・フセインは偉かった』『変見自在、スーチー女史は善人か』『変見自在、ジョージ・ブッシュが日本を救った』『変見自在、オバマ大統領は黒人か』など。
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1898年の米西戦争も同じように、北米大陸の脇腹にあるスペイン領キューバが米国の不安材料だった。「いつか敵対国の手にわたったら」という危惧は、実際に60年後、あのキューバ危機で現実のものになったが、米国はそれを先読みして戦端を切った。ただ、自国の安全保障という直截な言い方はしなかった。「植民地支配にあえぐ人々の自立のために」、米市民が立ち上がった、と。
このとき海軍次官だったのがセオドア・ルーズベルトだった。彼は友人のアルフレッド・マハンの言葉を入れ、太平洋戦略の基地としてスペイン領フィリピンの奪取作戦も取り込んだ。そしてスペインに抵抗していたアギナルド将軍に、独立支援を餌にマニラ攻略の共同戦線を張った。
米上院へのレポートでは、サマール島で38人の米兵が殺された報復に、この島とレイテ島の住民2万余人が虐殺されるなど、20万人が殺された。
この中には拷問死も多く、アギナルド・シンパとされた市民が逮捕され、「ウォーター・キュア・水療法」の拷問を受けたと報告書は伝える。これはあの魔女裁判と同じに数ガロンの水を飲ませ、それでも白状しないと「膨れた腹の上に尋問の米兵が飛びおりる。彼らは口から数フィートの水を吹き上げ、多くは内臓損傷で死んだ。」
マニラ湾南のアギナルドの故郷バタンガスでは、住民を銃で殺害こそしなかったが、すべての田畑や家屋を焼き払い、家畜を皆殺しした。食べるものを家も失った住民は、飢餓地獄の中で死んでいった。その数は5万人ともいわれる。「情報鎖国・日本、新聞の犯罪」より。