2013年12月30日

1941年、ヒトラーとの戦争のきつかけを待ち、日本との戦争は想定外だつたルーズベルト米大統領は、石油等の全面禁輸の経済制裁で日本の南進を阻止できると考えた。

だが、これによつて、日本は、明治以来拡大してきた領土をすべて手放し米国経済に完全に組み込まれるか、戦争かの究極の選択を迫られ、結果、真珠湾攻撃に踏み切ることとなつた。

日米開戦の責任の一端は、米国外交の失敗にあつたとする陸軍戦略研究所の分析に、日米近現代史研究家渡辺惣樹氏が詳細な解説を付す。

米国の公文書を読み解き、米国が如何に日本に戦争を仕掛けたかを、当事者の資料で検証。

最早、嘘は通じないのだ。

日米戦争の事を考える時、多くの日本人は、ルーズベルトの悪意に不可解な気持ちを抱くだろう。

日本をフィリピン以下の小国にして、支那の大国化を図り、アメリカの独占的市場にする。

何故に、ルーズベルトは、斯くなる夢想をした。

しかしながら、日本では、現在でも日米戦争の原因を、海軍艦隊派と陸軍統制派の対立、国民のナショナリズムの暴発、に求める自国内だけを見た偏頗なる歴史解釈が主流である。眞に、残念である。

これは、アメリカ陸軍大学の付属機関である、米国陸軍戦略研究所が出したレポートである。

著者、ジェフリー・レコード博士は米国空軍大学教官でもあり、本レポートは、アメリカの軍事エリートの教科書として採用されているものである。

本書に於いて、著者は、大東亜洋戦争のルーツは、日本の東アジアにおける軍事的侵攻だと考えるが、1941年の日米開戦の原因を作つたのはアメリカであり、同時に日本がアメリカの意志を正確に把握できなかつたことが開戦の原因である。

日本は、アメリカによつて引き起こされた経済戦争の結果、国家としての誇りのために戦つたのである、と結論づける。


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